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筑波大学とF1000 Research社、オープンサイエンス先導に向けた契約を締結 ~日本語にも対応した世界初のオープンリサーチ出版~

2020/05/28

国立大学法人筑波大学(学長:永田恭介)とF1000 Research Limited(Managing Director:レベッカ?ローレンス)は、研究者が英語か日本語で論文が出版できる世界初のオープンリサーチ出版ゲートウェイの開発にむけた契約を締結しました。
これにより、筑波大学所属の研究者が迅速且つオープンで透明性の高い方法であらゆる研究やデータを簡単に出版できるようになるだけでなく、人文学や社会科学の研究者が英語で書くか日本語で書くかを選べるようになります。
すべての成果はオープンアクセスで公開されるため、だれでも自由に読むことができます。また、公開と査読の順番を入れ替えることで、迅速かつ透明性の高い研究成果の公開が可能になる「F1000 Research出版モデル」(※注1)を利用します。
「F1000 Research出版モデル」は、著者のためになるように設計されており、公開査読への参加から著作権の帰属に至るまで、徹頭徹尾、著者主導となっています。また、このゲートウェイはオープンで透明性のある査読プロセスを研究者に提供し、査読結果の基礎となるソースデータへの完全かつ簡便なアクセスを提供するためにFAIR原則を必須としています。
本ゲートウェイは、2020年11月の公開を予定しています。F1000Research社のサイト内に設置され、オープンリサーチ出版のための先駆的なアプローチを講じます。物理学、生物学、医学、社会科学、芸術、人文学など、すべての分野を対象とし、従来の研究論文からプロトコル、登録済報告書(実験を行う前に手法と分析の定義を事前に登録した上で査読を受けるジャーナル論文の形態)、データノート、ケーススタディなど、あらゆる種類の研究成果をカバーします。

用語解説

(※注1):「F1000 Research出版モデル」
ビル&メリンダ?ゲイツ財団、英ウェルカム財団をはじめとする主要なグローバルファンド用にカスタマイズされたプラットフォームで活用されています。また、F1000 Research社はこの出版モデルを活用した出版プラットフォームを欧州委員会に提供し、Horizon 2020プログラムの採択者をサポートする契約を先ごろ獲得しました。

契約締結の背景

世界の研究者の大多数が英語を第一言語としていないにもかかわらず、英語は、国際的な科学コミュニケーションにおける「共通語」として卓越した地位を占めています。しかしながら、このことは、他の言語で発表された研究の価値や質が低いことを必ずしも意味するものではありません。
本日公表するこの先進的な出版の取り組みでは、人文学や社会科学の研究者が最も快適に書ける言語、自分たちの研究分野に最も適した言語を選んで、国際ジャーナルに論文を出版することが可能になります。
実際、人文学や社会科学分野では、特定の文化の哲学、歴史、文学、社会、法律、経済等に特化した研究が多いこともあり、当該地域の言語で出版することにより、さらに深い理解と知識の共有が可能となります。日本語の研究論文は、日英両言語で要旨とメタデータを収録し、主要な日本語および英語の書誌データベースに掲載されます。

関係者のコメント

~永田恭介(筑波大学長)のコメント~

今、学術情報流通は大きく変わろうとしています。
2002年のBudapest Open Access Initiativeを受けて、世界各国で各種の取り組みが進んでいます。そうなってきた要因の一つは、電子ジャーナル費の高騰、論文を掲載するためにかかる費用、そして公表された論文の個人での購読料など、科学研究の成果は幾重にも経済的な負担となってきています。そこで、例えば、ドイツは大手電子ジャーナル出版社に公正な価格モデルとオープンアクセス(OA)を求めて国レベルの契約交渉を進めています。また、電子ジャーナル購読料を論文掲載料に振り替えることでOAを推進するOA2020や、公的資金を得て発表された論文を全て即座にOA化することを求めるPlan Sという動きもあります。
こうした動きに通底するのは、経済的な問題を克服するという観点からだけではなく、学術情報の流通を研究者コミュニティの手に取り戻すというアカデミアの決意であり、私自身もこれを支持します。日本はOAに関して世界でリーダーシップを発揮するに至っていませんが、先進的なOAモデルを実装するF1000Researchの中に日本初のゲートウェイを開設することにより、学術情報流通の未来像を牽引してゆく所存です。

~レベッカ?ローレンス(F1000 Research社, Managing Director)のコメント~

筑波大学が示したリーダーシップとイノベーションは、オープンリサーチ出版の実践を採り入れるだけでなく、多言語による最初のゲートウェイの確立を目指すものです。これは、アジアのみならず全世界のオープンサイエンスにとって、大きな一歩であります。
私たちは、研究と学問、そして言語に壁はあるべきではないと信じています。サービスを提供する地域社会のニーズにこのモデルを絶えず適合させていくつもりです。さらに、筑波大学のゲートウェイは、人文社会科学分野を皮切りとして、日本における研究成果の情報発信に革命をもたらす可能性を秘めていると考えます。

~木越英夫(筑波大学副学長?研究担当)のコメント~

オープンサイエンスという言葉は、極めて曖昧であり示しているものが漠然としてはいますが、そもそも学術研究成果は世界全体の財産であり、全世界の人々がそれらに接することができる環境の構築はこれからの世界に重要な課題であると考えます。その中で、F1000Researchの新しい研究成果発表のあり方は、オープンサイエンスの具体的手法を示すものと期待しています。
筑波大学は、自然科学、人文?社会科学からスポーツ科学、芸術?デザイン学まで、極めて幅広い分野を擁する総合大学として、その研究を推進していますが、その研究成果を今回、準備する筑波大学のゲートウェイで発信することにより、筑波大学の研究成果の国際的な見える化を推進できると期待しています。これらの発信は、現在の研究分野だけでは対応できない地球規模課題の解決に必要な新分野の創成につながると考えています。

~青木三郎(筑波大学人文社会系長)のコメント~

筑波大学人文社会系では、200名を越える研究者が持続社会の実現、文明の継承と発展、言語コミュニケーションの問題を通じて、社会と人間とその営みを探求しています。人文?社会研究の成果は、著書や論文の形で出版されますが、英語だけでなく、日本語、フランス語、中国語など多様な言語で発信されています。最近は英語で書かれる論文が増加傾向にありますが、日本の思想、歴史や文学、法や社会など日本語でなければ論じ切れない分野が数多く存在するのも事実です。
そのような中で、F1000Researchの中に本学のゲートウェイが構築され、そこに世界で初めて日本語による論文も掲載できるようになることは、我々にとって大きな朗報です。日本語で書かれた論文であっても、公開査読に通れば、Scopus等のデータベースに登録されるため、日本語で書かれた優れた研究成果がこれまで以上に可視化されます。言語の壁を越えた知の共有が促進されることを確信します。

参考URL

筑波大学URL
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F1000Research社 公式サイト(英語)
https://f1000research.com/

F1000Research社 Twitter(英語)
https://twitter.com/F1000Research

問合わせ先

森本行人(もりもと ゆきひと)
筑波大学 URA研究戦略推進室 リサーチ?アドミニストレーター
〒305-8577 茨城県つくば市天王台1-1-1
E-mail: UT-gateway#@#ml.cc.tsukuba.ac.jp (#@# を @ に置き換えてください)
Tel: 029-853-4434(当面の間テレワークのためメールでお問い合わせください)

新道真代(しんどう まさよ)
筑波大学 URA研究戦略推進室 チーフ?リサーチ?アドミニストレーター
E-mail: UT-gateway#@#ml.cc.tsukuba.ac.jp (#@# を @ に置き換えてください)

Leanne Elliott(リアン?エリオット)
F1000 Research Limited Head of Communications
E-mail: leanne.elliott#@#f1000.com (#@# を @ に置き換えてください)

PDF資料

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