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がんが免疫の攻撃から逃がれる「もう一つの仕組み」の発見 ?がんの免疫療法に新たな可能性?

2020/02/11

筑波大学 医学医療系 渋谷和子准教授らは、がん細胞が可溶型CD155タンパクを産生することにより、免疫細胞による殺傷効果を防いでいるという、がんの免疫逃避機構を世界で初めて発見しました。これは、従来知られている免疫逃避機構とは異なるもので、新たながん治療の道を拓く可能性があります。

正常細胞ががん化すると、がん細胞の表面にCD155タンパク(膜型CD155)が増加します。免疫細胞によるがんの排除には、この膜型CD155と、免疫細胞上の活性化受容体DNAM-1の結合が重要であることが知られています。一方、CD155タンパクには変異体として、膜型の他に、可溶型CD155があります。これまで、がん患者では健常人に比較して血清中の可溶型CD155が高いことがわかっていましたが、その機能は明らかになっていませんでした。

本研究では、可溶型CD155を産生するメラノーマ(悪性黒色腫)腫瘍株では、産生しないメラノーマ腫瘍株よりも、有意に多くの肺転移が起こることを見出しました。これは、がん細胞から産生される可溶型CD155が、がんを排除する免疫細胞であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)上のDNAM-1に結合することで、DNAM-1の活性化が阻害されたため、NK細胞はがんを排除できなくなったことを示唆しています。

図 可溶型CD155により、がん細胞の免疫逃避が生じる仕組み
(A) NK細胞上のDNAM-1とがん細胞上の膜型CD155が結合すると、DNAM-1から活性化シグナルが伝達され、NK細胞が活性化し、がん細胞を殺傷する。
(B) がん細胞から産生される可溶型CD155は、DNAM-1に結合する。そのため、DNAM-1と膜型CD155の結合が阻害され、NK細胞が活性化されず、がん細胞を殺傷できない。

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